- 開催概要
-
-
セミナー名
第111回 新任取締役セミナー
-
開催日程
2022年8月25日(木)~27日(土)
-
講演場所
ロイヤルパークホテル
-
セミナー名
日本能率協会では、トップマネジメント(役員・経営幹部)の「経営力向上」が企業・産業界成長のための必要条件との認識にたち、その成長・発展に貢献すべく、各企業の役員の方々が自らの能力を高める場と機会の提供を目的とし各種のセミナーを実施しています。
本ページでは、2022年8月25日(木)~27日(土)に開催された第111回新任取締役セミナーの2日目(8月26日)のプログラムの様子をご紹介します。
新任執取締役セミナーは毎年2回開催されており、今回は今年度初めての開催となりました。全29名の参加者と多彩な講師陣・コーディネーターとともに、合宿形式でセミナーを開催しました。
参加者からは「経営者の生の声が心に残りました。今後の考え方の大きな参考になりました。」というお言葉も頂戴しました。
詳しい内容について、本ページでご紹介しております。セミナー派遣・参加の情報収集の一助になれば幸いです。
新任取締役セミナーのねらい
新任取締役セミナーでは、参加者の学びをより深めるため、コーディネーターをお招きし、進行・火付け・まとめを行っています。第111回では松田 譲 氏(公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団 名誉理事)に担当いただきました。
-
1
大局的視点、取締役としての心構え
経営戦略やコーポレートガバナンス、組織・人材に対する考え方など、経営全体に監督責任を持つ取締役に欠かせない、大局的視点・実践的方法論・心構えを学ぶ。 -
2
企業価値向上、意思決定
厳しい経営環境に果敢に挑戦し、企業価値向上に向けて新たな道を切り拓く、企業の最高意思決定者としてのあり方を追求する。 -
3
視野の拡大、視座の向上(自己革新)
異業種間の交流による相互学習により、自社・自分自身・経営に対する新たな気付きを得て、今後の課題を主体的に設定する。
取締役会に関する最近の話題
(公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団 名誉理事 松田 譲 氏)2日目の講義は、本セミナーでコーディネーターも務められている松田氏からスタートしました。松田氏は、事前に準備していた説明スライドに加え、「昨日のセミナーを聞いていて追加で解説を」ということで「より良い取締役会にするには?」というテーマで4つのポイントも挙げていただきました。
【講演のポイント】- 取締役会を決議機能からモニタリング機能に変えることが活性化のポイント
- ESG経営の基本
(1)企業理念の具現化(ぶれない、〇〇らしさ) (2)企業価値向上(その会社がないと困る、圧倒的な競争優位性) (3)経営リスクの軽減(サステナビリティ、透明性、公平性) - 経営者に求められる資質 (1)トップダウン型統率から「イノベーションの気概」に (2)不確実性や環境変化に柔軟に対応できる(バックキャスティング、メガトレンド) (3)素晴らしいビジョンを伝える
デジタル時代の経営者のリーダーシップ
(日本アイ・ビー・エム株式会社 名誉顧問 下野 雅承 氏)2日目は講義が全部で4テーマあります。2つ目のテーマは「デジタル時代の経営者のリーダーシップ」。日本アイ・ビー・エム株式会社 名誉顧問 下野 雅承 氏にご登壇いただきました。
下野氏からは、デジタル技術の変遷、DXの進め方、人材育成の考え等を語っていただきました。特に、dx(スモールDX)の話、DX推進の方法、DX実装までのステップ、DX推進時に陥りやすい罠など、DXに関する話題を多く解説いただきました。
(筆者はいわゆる「Z世代」の人間ですが、DXの話はデジタルネイティブと呼ばれている(呼ばれてしまっている)世代からしてもとても興味深い内容でした。)
そして最後に、これから取締役として活躍する参加者にエールを頂戴しました。
- イノベーション(社会革新)とはインベンション(技術革新)とビジネスインサイト(事業としての洞察)
- DX推進に向けて
(1)すべては「シーズ」ではなく「ニーズ」から(技術ではなく課題) (2)データへの好奇心 (3)業界を変える (4)利他的、エコシステム (5)オープン・イノベーション - 取締役の存在価値
(1)「稼ぐ」ことへの執着心 (2)リスクテイクをする会社にする
日本企業に不可欠な積極的経営戦略
(新潟県立大学 国際経済学部教授 元 経済産業研究所 理事長 中島 厚志 氏)新任取締役セミナー2日目のテーマは「企業価値創造と戦略的発想を学ぶ」です。
テーマに基づき、「日本企業に不可欠な積極的経営戦略」というタイトルで、中島 厚志 氏にご講演いただきました。講演時点での円安の要因、日本経済の低迷やIT化の遅れなど、役員として、そして日本で働く人間として理解しておかなければならない知識を教授いただけました。
- 日本経済の力は、世界経済の中で“1970年前後”に逆戻り。一人当たりGDPは1980年の水準に低下
- 日本はIT・ICTへの投資よりも安い労働力(派遣人材)を優先。IT化に遅れをとる。
- 長期的に、付加価値創造力(イノベーション)と産業競争力が欧米企業に劣後
グループディスカッション
社会になくてはならない企業になるために休憩をはさんだのち、2日目は前回とはグループを変えてディスカッションを行いました。2日目のテーマは「企業価値を創造し、競争優位を確立する社会になくてはならない企業になるために何が必要か?」。
前日同様に、5名程度のグループでディスカッションを行ったあと、各グループの意見を発表しあいました。
2日目ともなると参加者の皆様の緊張もだいぶ解けてきたように見受けられました。各企業の取締役の方々が一堂に会し、共通のテーマについて議論する姿は和気藹々とした雰囲気はありつつもまさしく真剣そのものです。
今回は、ディスカッション終了間際に記念撮影をしたグループもありました。
この方々が、昨日初めて会った他社の取締役たち、ということに少しの感動を覚えます。セミナーを通して2日目でここまで真剣に、しかし笑顔で議論できる仲間が得られるのが新任取締役セミナーだと、筆者は感じています。
ディスカッションの記念撮影の様子です。
(個人情報保護のため、全体にぼかしを入れています。撮影は筆者。)
経営者講演Ⅱ
難局を切り拓く経営者の決断とリーダーシップ(アサヒグループホールディングス株式会社 取締役会長 兼 取締役会議長 小路 明善 氏)2日目の経営者講演は、アサヒグループホールディングス株式会社 取締役会長 兼 取締役会議長 小路 明善 氏にご登壇いただきました。講演タイトルは「難局を切り拓く経営者の決断とリーダーシップ」です。
講演では、「私たちを取り巻く環境と企業に求められているもの」「リーダーに必要な3つの力」「未来の社会からも評価される企業として」というアジェンダもある中、先輩経営者として参加者である新任取締役の方々へのエールに加え、小路氏自身が経営者として大切にしていることをお話しいただきました。
講演の中に、「声なき声を聞くことの大切さ」というお話がありました。先端(現場)でコツコツと寡黙に働いている人の言葉にこそ耳を傾ける、ということです。
この言葉は、多くの参加者の胸に刺さりました。
- 「声なき声を聞くことの大切さ」
先端(現場)でコツコツと寡黙に働いている人の深層心理を把握する - 市場・先端から、変化と改革は起こってくる
- ファーストペンギンたれ! 戦う姿・背中を見せ、先頭に立つ
- 人は強くなければ生きてゆけない。しかし、優しくなければ生きていく資格がない
参加者の声
2日目のプログラムを終えた参加者の声の一部をご紹介します。
- 松田氏の講演からは、取締役会に求められることが変化してきているとこなど、理解が進みました。
- 小路氏の講演内容の、覚悟を持った決断とその腹決めは凄みを感じました。
- 下野氏からは、IT・DXのいずれも重要であること、デジタル生産性改善の破壊力を学べました。
- 中島氏の、データに基づく説明はわかりやすく、迫力があった。
- 現場の一線で戦ってきた方の言葉は大変参考になり、また講義の仕方もとても素晴らしかったと思います。
- ディスカッションにおいて様々な立場、意見を短時間で集約・まとめをすることは貴重な経験でした。心構えを改めて考えるいい機会となりました。
まとめ
新任取締役セミナー1日目は「企業価値創造と戦略的発想を学ぶ」というテーマでの講義とディスカッションでした。
2日目も盛りだくさんのプログラムでしたが、インプットとともにディスカッションという形でアウトプットも行いました。
併せて、合宿形式の新任取締役セミナーでは、朝8時過ぎからストレッチ体操も行っています。どうしても座りがちになってしまうセミナーですが、朝のストレッチで体をほぐしてからプログラムが始まります。ストレッチ体操を通して、身体のみならず心もリフレッシュすることができます!
次回は3日目の様子をレポートいたします。更新をお待ちください!
講師情報
公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団
名誉理事
日本アイ・ビー・エム株式会社
名誉顧問
新潟県立大学
国際経済学部教授
元 経済産業研究所
理事長
アサヒグループホールディングス株式会社
取締役会長 兼 取締役会議長