- 開催概要
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セミナー名
第73回 新任執行役員セミナー
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講演者
株式会社ONE GLOCAL 代表取締役 鎌田 由美子 氏
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開催日程
2020年8月21日(金)
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セミナー名
※※新型コロナウイルス禍での開催となりましたため、下記URLの通り感染予防対策を実施しました。
「JMA役員研修」の「新型コロナウィルス感染予防対策」について
「新任執行役員セミナー」は、事業の執行と結果責任を担う「執行役員」の責務について再認識いただくと共に、新たな道を切り開く経営のあり方を追求することを目的に開催しております。
事業の持続的発展、価値創造を牽引する「執行役員」として、事業・組織の執行力と革新力を高めるために講師から学ぶことに加え、日々の経営活動において、経営最高責任者として卓越したマネジメントを実践している、現役の経営者を3日間毎日お招きして、経営トップだからこそ会得できた経営の要諦や豊富な経験談から、実践的な行動やあり方を学びます。
今回は、株式会社ONE GLOCAL代表取締役の鎌田由美子氏をお招きし、「GROUND SWELL ~大きなうねり~」というタイトルでご講演いただきました。
鎌田氏は、JR東日本に入社後、一貫して新規事業に携わり、05年、「ecute」を運営するJR東日本ステーションリテイリング代表取締役社長に就任し成功に導きました。その後、事業創造本部にて、地産品のマルシェを併せ持つシードル工房「A-FACTORY」を東北新幹線・新青森駅開通時に立ち上げるなど、さまざまな地域活性事業を手がけてこられました。
講演では下記3つのテーマについて、鎌田氏のこれまでのご経験や苦労話、当時の組織同士のハレーションなども、リアルにお話しいただきました。
1.会社員時代の新規事業
エキナカビジネス/駅構内開発小売業(ecute)
当時、「鉄道は右肩下がりになる」と言われていたなか、JR東日本では2001年からの中期計画で「ステーションルネッサンス」を掲げた。エキナカという言葉や概念がさえもない時代に、駅を「通過する場所から集う場所へ」したいという信念のもと新しいコトに挑んだ。
地域再発見プロジェクト(A-Factory@青森)
エキュートの成功後は本社に戻り、子育て支援や地域活性化事業を手掛けた。経営から「青森新幹線の開通に向けて、地域を盛り上げる何かをやってくれないか」というお題をもらい、「青森と言えばリンゴだろう」と考えた。そんな時、旅行で訪問したフランスのシードル街道を思い出し、同じ農家でも何が違うのかと考えた。すると、「働く人の笑顔がない」「りんごの木が伐採されている」…ということに気が付き、そこにいる人たちに笑顔や誇りをもたらすことができるシンボルを創るために、シードル工房A-Factoryを企画した。
カルビーでの取り組み
2015年2月、カルビーの上級執行役員として新しいキャリアをスタートした。当時の松本晃前会長からの言葉が忘れられないと語った。「人のためになること、わくわくすること、利益がでること、この3つを守れば何をやってもよい」
その言葉を胸に、新事業の立ち上げを推進した。
2.50代半ばでの学び直し
RCA(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英・ロンドン))への留学
VUCAと言われて久しい昨今、数字だけでは未来を予測できない時代に、「人」を起点に考えるデザイン思考が大切だと考えた。また、JRに入社する前から、美大への憧れがあったという鎌田氏。学びたいという純粋な欲求や新しい環境にチャレンジしたいという気持ちもあいまって、イギリスへ留学した。当時のロボットを製作するGizmoという授業での気づきや、RCAにおけるダイバーシティについて、日本との対比など、鎌田氏ならではの視点でお話しいただいた。
3.With /After Covid-19
Digital / Environment / Diversity & Inclusion
コロナによって著しい変化が起こっているが、特に新しいことが起きているのではなく、「潜在化していた変化が顕在化しただけ。あるいは、10年後15年後にくるであろうと想定していた変化が10倍速でやってきただけだ」とも語っていた。
最後に、鎌田氏の好きなチャールズ・ダーウィンやスティーブ・ジョブズの格言を用い、「新任執行役員」である受講者の新しい挑戦にエールを送った。
講義後、参加者からの質問では、「ステーションルネッサンスでの大役の中での1番苦労したことは何か」「新規事業で失敗したことは何か」「勇気ある撤退の経験はあるか」「ダイバーシティ推進での留意点」といった質問が次々とあがり、インタラクティブに参加者と対話していただきました。
鎌田氏の講演から、新しい事をおこすには強い意志と情熱が必要であり、年齢に関係無く学び続けることの重要性を改めて感じさせられました。