竹内都美子 氏

マツダ株式会社  執行役員 グローバル人事・安全・病院担当 
竹内 都美子 氏

第89回新任執行役員セミナー 修了者

日本能率協会は1982年から、トップマネジメント層の経営力向上に貢献するべく、「トップマネジメント研修」を開催しています。
中でも90回以上の開催歴がある「新任執行役員セミナー」、及び経営知識として欠かせない必須知識を学べる「戦略財務・会計セミナー」について2023年度にご参加いただいたマツダ株式会社 執行役員 グローバル人事・安全・病院担当 人事本部長 竹内 氏に 研修の感想を伺いました。インタビュアーは日本能率協会の小杉が務めました。(本文中敬称略)

「脱・領域特化」で視野を広げる

(小杉) 竹内さんの現在のお立場とお仕事内容について教えていただけますか?
(竹内) 現在は、執行役員と人事本部の本部長を兼務しています(取材当時)。執行役員として、グローバル人事と従業員の健康やキャリアなど“人に関わる全て”が担当領域です。人的資本経営が重視されるなか、人事戦略を立案し、組織の風土変革をミッションとして取り組んでいます。
(小杉) 10月の「新任執行役員セミナー」にご参加いただきありがとうございました。ご参加を決められた経緯について、お聞かせいただけますか?
(竹内) 人事を担当するにあたって、以前より感じていた課題がありました。弊社の場合、各領域のスペシャリストが部長になり、本部長になり、担当役員を経て執行役員になるというキャリアをたどるケースがほとんどで、各領域に特化した役員が多いのが実情です。本部長以降のポスト・役員を担う立場では、横のつながりや会社の全体を見られるよう視野を広げていって欲しいと考えています。
特に新任役員は、個々の学びに頼るだけではなく体系立てた学びの機会が必要だと思いました。会社の外に出て同じ新任役員になる方との交流を持つ、役員とは何かを今一度考える、そんな時間が得られたらと考えたのが研修参加に至った理由です。私自身がセミナーを受けたくて、もう1人の新任役員を引っ張りこみました(笑)

経験豊かな講師の胸に刺さる言葉

(小杉) 「新任執行役員セミナー」の3日間、ご受講されてみて感じたことや、印象に残ったことはありましたか?
(竹内) 本当に楽しく、あっという間の3日間でした。特に、株式会社K-BRIC & Associates代表取締役社長の藤田研一さんがメインのファシリテーターとして私たちに伴走してくださったのがよかったなと感じています。藤田さんはメーカー勤務から、世界的企業の日本法人CEOをお勤めになり、また会社の立ち上げのご経験もおありということもあり、幅広いご経験から出てくるお話から多くの学びを得られました。
3日間で一番印象に残ったのが、「決めてくれない・解決してくれない・モチベートしてくれないリーダーだったら、手を貸してくれる猿の方がマシだ」という言葉とスライドです。私自身も強烈なインパクトを受けました。
意思決定や問題の解決、チームビルディングについて、自分はできていると思い込んでいるリーダーはとても多いと思います。しかし、本当にできていますか?と突きつける言葉として、あれほどストレートに刺さる言葉はなかなかない。特に役員など上のポストになればなるほど、耳の痛いことを言ってくださる方は減ってくると思うんです。ご自身が会社を経営されている藤田さんだからこその言葉だと思いますし、とても胸に突き刺さる言葉でした。
もうひとつ印象に残っているのは、3日目にお話を伺った株式会社エミネクロス代表でありスポーツドクターの辻 秀一さんのごきげん経営、「ごきげんでいることはスキルだ」というお話です。まだまだ科学で解明しきれてない人の心について、アスリートの方や経営者の方が重視するようになったという内容が印象に残っています。
それと少し個人的な話になりますが、セミナー期間中の朝のストレッチタイムを経験して、身体を動かすことの大事さに改めて気づきました。知識や考え方だけ身に着ければいいわけではなく、やはりビジネスでは体が資本です。ストレッチのお陰でとても調子がよく、目覚めのよさや体と頭の活性化が全然違うと感じました。個人的に今後パーソナルトレーナーをお願いしたいなと思ったくらいです(笑)

参加者同士の交流を深める仕掛け

(小杉) 3日間の研修において、事務局では参加者同士の交流をとても重視しています。グループワークでは毎日メンバーを変える、毎晩懇親会の場を設けるなどの取り組みを行いましたが、他社の方との交流の場はいかがでしたか?
(竹内) 毎回メンバーが変わるのはとてもよかったですね。研修の最初の頃は、名簿を見ながらでないと他の参加者の方について把握するのが難しかったのですが、徐々に多くの方と打ち解けることができました。また、後日集まる際の幹事を任せていただきました。
皆さんとお話するのはすごく楽しかったです。昼食や夕食の場では、美味しいものを一緒に食べることによって感情が動き、そこから心が開いていくのを感じました。
講義だけ、質疑応答だけではないやり取りの中で、他の参加者さんの考えをより深く知り、人間関係のネットワークを作るきっかけになりました。
研修の後半では他の製造業の方々とグループワークでご一緒する機会がありましたが、懇親会でお互いに打ち解けた後半だったからこそ、お互いの赤裸々な部分について話せました。困っていたり悩んでいることを、本音でお互いに共有できたのは、懇親の場があったからだと思います。
竹内様 インタビュー風景

セミナーで問われた
「目指す姿」を有言実行

(小杉) 「新任執行役員セミナー」のご受講が終わってから数か月が経ちましたが、研修の参加前後で何か変化はありましたか?
(竹内) 主にふたつあります。ひとつはセミナーのまとめシートで、「今後どのような状態を目指しますか」の項目に書いた内容をしっかり実行した点です。実は日々の業務の中でまだセミナーを振り返りきれてない部分があり、このインタビューをお受けするにあたってまとめシートに何を書いていたかを確認したところ、「組織変革(現在検討中)の背景と目的、想いをまとめて担当領域メンバーと共有する。(年内)」と書いてありました」。
ちょうど先日、人事本部内のタウンホールミーティングで組織変革について40分ぐらいのプレゼンテーションを行いました。しっかり有言実行できていたなと、手ごたえを感じました。言語化は苦手なのですが、伝えることが仕事の我々としては、これからもっと磨いていかねばならないと改めて思っています。自分の中で締め切りを決めたきっかけは「新任執行役員セミナー」です。期限内にやり切る習慣の第一歩が踏み出せたのではないかと思います。
もうひとつは直接的な変化ではないのですが、セミナーの際に「3日間を通して決めた覚悟、もしくは考え方の軸」として選んだ字を書いていただいた盾が先日届いたので、よく見える所に飾ろうと思っています。机の上に荷物が来ていて、他の社員も興味津々といった様子だったので「これ私が宣言した言葉なの」という話をしました。せっかくプロの書道家の方に書いていただいた素敵な字なので、初心を忘れないようにしたいなと改めて感じました。
私が選んだ文字は「凛」。スイッチが切れると弛んでしまいがちな自分を引き締めたいと思って決めました。いつも凛とした立ち居振る舞いでいたいですし、それを支える考え方を持ちたいという思いや、ずっと学び続け成長し続けようという自分への戒めもこめています。
まとめシート イメージ

苦手意識を変えてくれた
「財務・会計セミナー

(小杉) 「戦略財務・会計セミナー」についても、ご参加いただいた背景を教えていただけますか?
(竹内) 領域のスペシャリストとして役員になる者が多い中で、会社の経営の一翼を担う役員になるなら、会社の財務・会計を読むためのスキルは必須だと思っていました。私自身、財務・会計の知識が乏しい点は自分の弱みだと感じていたので、きちんと学びたいと思いました。財務・会計を理解できていないが故に、我々が今後何をしていくべきかという戦略、行動に繋げることができていない点が現状の課題だと感じています。
結論から言うと、「戦略財務・会計セミナー」を2日間受講させていただいて、必要なことがかなり理解できました。もちろん「明日からできるようになります」とまで言うと嘘になりますが、苦手意識を減らして、さまざまな企業の財務指標に関心を持ち、自社との違いを分析してみようと思うまでにはなりました。そういった意識、行動に繋げるために財務と会計のセミナーを選んだので、目的が叶いました。
研修の雰囲気も、気軽に質問できる空気がありました。グループディスカッションで「ここがわからない」とか、「これいくらになるんだろう」と他の参加者の皆さんと一緒に計算したり、比較的自分とレベルが近い方が多かった点がよかったです。

共通課題と向き合う仲間と出会える
日本能率協会のトップマネジメント研修

(小杉) 「新任執行役員セミナー」や「戦略財務・会計セミナー」について、今後受講を検討されている方に向けて、何かアドバイスやメッセージをお願いします。
(竹内) プログラムの大きな魅力としてあげたいのが、自己流とは異なり体系立ててきちんと学べる点と、講師として教えてくださる方が企業の現場で修羅場をくぐってこられた方々だという点です。百戦錬磨の経営者から直接教えていただけることが、良質な学びに繋がる大きなポイントだと感じました。
テキストの内容はもちろん、講師の方からの迫力のある言葉、お話を聞けるのが日本能率協会トップマネジメント研修の大きなメリットです。加えて、同じタイミングで新任役員になった仲間たちと出会える貴重な機会でもあります。悩みや、直面している課題に共通点が多く、同じ問題に向き合っている仲間というのは得難いものです。数あるセミナーの中でもすごく練られたプログラムだと思うので、当社も続けて受講を薦めていきたいと思いますし、他の方にも受講をおすすめしたいです。
これまでいろんな経営塾やセミナーを受けてきて、もちろんそれぞれにいいところがありました。しかし、3日間職場を離れて寝食をともにしながら、腹を割って話せるセミナーというのは、やはり密度の濃い、凝縮された経験になると思います。
(小杉) 本日はありがとうございました。
インタビューでの集合写真
▲第89回新任執行役員セミナー 藤田コーディネータ、参加者の皆様との1枚(1列目中央が竹内氏)