株式会社ワークマン
代表取締役社長
小濱 英之 氏
新任取締役セミナー参加者
2018年開催「第103回新任取締役セミナー」に参加された小濱様にインタビューを行い、
- セミナーで印象的だったこと
- セミナー参加後の心境や行動の変化
- 経営者として大切にしていること
「会社というのは潰れるものである」
-JMA「新任取締役セミナー」に参加され、どのような印象を持たれていますか?
2018年の取締役就任時に、会社からの指示でセミナーに参加しました。既に参加後3年程経過しましたが、現役経営者の講話や、「人間力」に関するセッションはとても印象的でした。各講師の発せられた言葉のいくつかは、今でも覚えています。「覚悟を持つ」「先頭に立つ」「新たな事柄に興味を持つ」「気を配る」「今、ここ、自分」など、役員就任後の私の思考や行動に大きく影響を与えています。現在、取材を受けることもありますが、その時に得た言葉を引用することもありますね。そういう意味で、大変意義深い機会だったと感じています。ちなみに、セミナーでは「会社というのは潰れるものである」という話があり、その時改めて「自分の会社も、下手をすると潰れてしまうこともあるんだ」と再認識したことを覚えています。
社長の仕事:「自問自答」の日々
-セミナー参加後から現在にかけ、どんな変化がありましたか?
セミナー参加の1年後に当社の社長に就任しました。2年が経過していますが、今でも考えるのは、「自分は社長としての仕事をしているのか?」ということです。ずっと自問自答していますし、不安になることもあります。社長の仕事は、つまるところ会社を長期に発展させることだと考えますが、社長自身の仕事の成果は不明確であるとも感じています。部長時代は、やったことの成果が短期で明確になり、自信を持って仕事をしていましたが、現在、社長として自信があるかと問われると、なんとも言い難いものがあります。しかしながら、社長としての役割責任を果たすために自分の頭と行動を切り替えながら、中長期的に会社を発展させたいと軸を決め、業務に取り組んでいます。取締役や社長になって、当然わからないこともたくさんありました。経営知識の不足を書籍で補ったりもしましたが、わからないことを謙虚に現場・社員に聞くことを心がけています。コミュニケーションの量を増やし、現場や各社員の業務内容をよく理解し、全社最適で判断・行動できるよう意識しています。トップダウン型の経営は、危機的状況時には必要ですが長続きしませんよね。
「楽しさを届ける」という価値提供を目指して
-経営者として大切にしている考え方、また、今後自社の革新課題をどのようにお考えですか?
日々、スピード感をもって意思決定し、周囲に任せて課題解決してもらう。私は社員が動きやすい・働きやすい環境を作っていく、そんな考えを大切にしています。当社を、もっと社会に役立つ会社にしたいし、社員にそれを実感してもらいたいと考えています。当社はフランチャイズビジネスなので、お客様と直接接するのはフランチャイジーである加盟店さんですので、私達社員の仕事の価値は比較的感じにくいものだと思います。ですので、私達ならではの「楽しさ」を届けるという「提供価値」を明確にし、それを伝えていく、そして「夢をもって働ける」、そんな職場・会社にしたいと考えています。そのために、人材育成にはもっと力を入れたい。特に、社内の各部署をローテーションし若手を育成しながら、当社の強みをよく理解し活かせる社員づくりをしたいと思っています。時間のかかる育成方法ではありますが、その価値を理解してもらいながら進める必要があります。
もう一つ取り組むべきは、ダイバーシティ推進です。男性と同様に、女性社員にももっと当社でリーダークラスとして活躍してもらいたい。ロールモデルになる人材を増やしたい。このテーマにも取り組んでいきたいと考えています。