株式会社小松製作所
執行役員 サステナビリティ推進本部長
出浦氏
日本能率協会は1982年から、トップマネジメント層の経営力向上に貢献するべく、「トップマネジメント研修」を開催しています。
長年多くの企業様にご参加いただいている「新任執行役員セミナー」について、2023年度の開催回にご参加いただいた株式会社小松製作所 執行役員サスティナビリティ推進本部長 出浦 淑枝 様の感想を伺いました。インタビュアーは日本能率協会の矢吹と黒坂が務めました。(本文中敬称略)
サステナビリティを柱に、幅広い領域を担当
(黒坂)
出浦様の現在のお立場と、お仕事内容をご説明ください。
(出浦)
現在は執行役員サステナビリティ推進本部長を務めています。小松グループ全体のサステナビリティに関連する活動の取りまとめ、及び方針策定や実施内容に関して社内外での広報も担当しています。
(黒坂)
出浦様には第88回の新任執行役員セミナーを受講していただきました。今回、この研修を受講された背景についてお聞かせください。
(出浦)
当社では執行役員になった際に、必ず指定の研修を受けるよう教育部門から指示があります。JMAさんの新任執行役員セミナーへは、シンプルに会社からの指示で参加しました。
「ちょうどよかった」は魔法の言葉
(黒坂)
3日間の研修を終えて、とくに印象に残ったことなどはありましたか?
(出浦)
他の会社、とくに違う業界の方や、サステナビリティとは異なる領域を担当されている方など、いろんな方と交流ができたのが一番よかったと感じる点です。
私が参加した回はとてもいい幹事さんに恵まれました。すぐにLINEグループができて、最近も毎日のようにやり取りをしています。皆さんと「ここで繋がっておけば、いつでもわからないことを聞けますね」「出張に行ったら、また交流しましょうね」といった話も出ていて、ありがたいなと思っています。
講義については、強く印象に残ったことが3点あります。ひとつ目は、みさき投資株式会社・代表取締役社長の中神 康議さんの講演です。私はサステナビリティの担当ですので、「経営者・従業員・株主が一体となった経営で、みなで豊かになる」というテーマに強く興味を惹かれました。投資家の方がどんな考え方をされるのかを丁寧に説明していただき、業務に直接活かせそうな内容でとてもためになりました。
ふたつ目は、禅マインドプロデューサーの島津清彦さんのお話のキーワードで、研修以降、私もよく使うようになった「ちょうどよかった」という言葉です。
この「ちょうどよかった」に関しては印象的なエピソードがありました。講演中、「皆さん、座禅を短時間でちょっとやってみましょう」というお話があった直後に講演が行われていた部屋のすぐ近くにある高校のグラウンドで、学園祭らしき催しが始まってしまったんです。ブラスバンドのような賑やかな音がして、とても静かに禅をやりましょうという雰囲気ではなくなってしまいました。
その時に先生が「こういう時にね、僕はいつもちょうどよかったって言うようにしてるんです」とおっしゃいました。「なにかハプニングや、あまり嬉しくない予想外のできごとがあった場合も、ちょうどよかったと言って切り替える。そう考えることで、起きたことを含めていい方に回していくんです」と話されたんです。
騒音を避けるため、講演が行われていた学校側の部屋とは反対側の、グループディスカッション向けの部屋に移動することになりました。講演用の部屋はいわゆるスクール形式で、私たち聞き手が全員先生の方へ向いて座る教室型の部屋です。対してグループディスカッション向けの部屋は丸テーブルなので、実は先生としてはそちらの方が話しやすい、とのことでした。
人生にはさまざまな予想外があり、仕事にもハプニングはつきものです。そういう時に「ちょうどよかった」とうまく変換するというお話は「使えるな」と感じました。さっそくセルフメンタルケアとして活用しています。もともとヨガをやっていて、禅や瞑想といったものに多少馴染みはあったのですが、より実践的な境地に至ったと思います。
最後のみっつ目は、公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団・名誉理事の松田 譲さんのお話です。会社合併に関するお話で、会社をひとつにするために作ったコーポレートメッセージに関するビデオを見せていただきました。本当に心に沁みる内容で、メッセージの伝え方のヒントになりました。
コーポレートコミュニケーションを担当していますので、さまざまな場面で社内の人のメッセージを記事にすることがあります。果たしてここまで心がこもったものとして伝えられているだろうか、と問い直すきっかけになりました。音楽、映像、語りかけ方などの細かな工夫がとても大事なのだと実感しています。
私が参加した回はとてもいい幹事さんに恵まれました。すぐにLINEグループができて、最近も毎日のようにやり取りをしています。皆さんと「ここで繋がっておけば、いつでもわからないことを聞けますね」「出張に行ったら、また交流しましょうね」といった話も出ていて、ありがたいなと思っています。
講義については、強く印象に残ったことが3点あります。ひとつ目は、みさき投資株式会社・代表取締役社長の中神 康議さんの講演です。私はサステナビリティの担当ですので、「経営者・従業員・株主が一体となった経営で、みなで豊かになる」というテーマに強く興味を惹かれました。投資家の方がどんな考え方をされるのかを丁寧に説明していただき、業務に直接活かせそうな内容でとてもためになりました。
ふたつ目は、禅マインドプロデューサーの島津清彦さんのお話のキーワードで、研修以降、私もよく使うようになった「ちょうどよかった」という言葉です。
この「ちょうどよかった」に関しては印象的なエピソードがありました。講演中、「皆さん、座禅を短時間でちょっとやってみましょう」というお話があった直後に講演が行われていた部屋のすぐ近くにある高校のグラウンドで、学園祭らしき催しが始まってしまったんです。ブラスバンドのような賑やかな音がして、とても静かに禅をやりましょうという雰囲気ではなくなってしまいました。
その時に先生が「こういう時にね、僕はいつもちょうどよかったって言うようにしてるんです」とおっしゃいました。「なにかハプニングや、あまり嬉しくない予想外のできごとがあった場合も、ちょうどよかったと言って切り替える。そう考えることで、起きたことを含めていい方に回していくんです」と話されたんです。
騒音を避けるため、講演が行われていた学校側の部屋とは反対側の、グループディスカッション向けの部屋に移動することになりました。講演用の部屋はいわゆるスクール形式で、私たち聞き手が全員先生の方へ向いて座る教室型の部屋です。対してグループディスカッション向けの部屋は丸テーブルなので、実は先生としてはそちらの方が話しやすい、とのことでした。
人生にはさまざまな予想外があり、仕事にもハプニングはつきものです。そういう時に「ちょうどよかった」とうまく変換するというお話は「使えるな」と感じました。さっそくセルフメンタルケアとして活用しています。もともとヨガをやっていて、禅や瞑想といったものに多少馴染みはあったのですが、より実践的な境地に至ったと思います。
最後のみっつ目は、公益財団法人加藤記念バイオサイエンス振興財団・名誉理事の松田 譲さんのお話です。会社合併に関するお話で、会社をひとつにするために作ったコーポレートメッセージに関するビデオを見せていただきました。本当に心に沁みる内容で、メッセージの伝え方のヒントになりました。
コーポレートコミュニケーションを担当していますので、さまざまな場面で社内の人のメッセージを記事にすることがあります。果たしてここまで心がこもったものとして伝えられているだろうか、と問い直すきっかけになりました。音楽、映像、語りかけ方などの細かな工夫がとても大事なのだと実感しています。
心身を整えることも大事な仕事
(矢吹)
個人的にヨガをなさっているそうですが、研修でも朝に軽いストレッチをするなど、運動の時間を取り入れています。どんな風に思われましたか?
(出浦)
とてもいいと思います。心身をしっかり整えるのも、役員として必要な仕事ですから。管理職になった頃から、よく眠って頭をクリーンにしておくよう意識するようになりました。頭がうまく動かないような気がするので、20時以降は絶対残業しないと決めていましたね。
私はまだ役員になったばかりですが、これから経営に携わるうえで会社にとって重大な決断、判断をすることもあるかもしれません。適切な判断をするためには、やはりすっきりした頭でいないといけません。思い切ったことをやるべき時に自信を持って決断できるよう、心と体を整えるのは大事なのではないかと思います。そういう意味で、運動の習慣は必要ですね。
私はまだ役員になったばかりですが、これから経営に携わるうえで会社にとって重大な決断、判断をすることもあるかもしれません。適切な判断をするためには、やはりすっきりした頭でいないといけません。思い切ったことをやるべき時に自信を持って決断できるよう、心と体を整えるのは大事なのではないかと思います。そういう意味で、運動の習慣は必要ですね。
同じ悩みを持ち、深く話せる相手に出会える研修
(黒坂)
研修中の参加者同士の交流をとても重要視しています。グループワークで毎日メンバーを変えたり、毎晩懇親会場を設けたりといった取り組みを行っていますが、他社の方たちとの交流の場はいかがでしたでしょうか?
(出浦)
先程も少しふれましたが、交流の機会を増やしていただけたのはとてもありがたく、有効に活用させていただきました。ただ、参加人数が多く全員とお話することはできませんでした。せっかくあれだけのメンバーが集まったのに、と残念に思う部分はあります。ただ、現実的に考えると3日間という限られた時間では仕方がないですよね。
やはり、共通の悩みを持つ方とは話が盛り上がりやすかったです。さまざまな方との出会いの場をいただけたという意味で、毎日メンバーを変えたグループディスカッションや、懇親会で自由に話をするタイミングがあったのはありがたかったです。
ちょっと驚いたのは、研修参加メンバーで集まった忘年会に講師の川名さんが来てくださったことですね。まさか先生が来てくださるとは思いませんでした。
やはり、共通の悩みを持つ方とは話が盛り上がりやすかったです。さまざまな方との出会いの場をいただけたという意味で、毎日メンバーを変えたグループディスカッションや、懇親会で自由に話をするタイミングがあったのはありがたかったです。
ちょっと驚いたのは、研修参加メンバーで集まった忘年会に講師の川名さんが来てくださったことですね。まさか先生が来てくださるとは思いませんでした。
「さまざまある」に気づいて得た安心感
(黒坂)
新任執行役員セミナーの受講が終わってから数ヶ月経ちました。参加前後でご自身の中で心境の変化、実際にしてみたことなどがあればお聞かせください。
(出浦)
率直に言うと難しい質問ですね。9月に研修を受けて、この研修があったから、こんなに変わりましたと言えれば、インタビューとしてはいい答えになるんだと思うんですけど(笑)
明確に「これが変わった」というよりも、やはり同じ研修を受けた仲間がこれだけいるのだという感覚に価値があると感じています。皆さんさまざまな悩みや思いがあるんだとわかったことによる安心感が一番でしょうか。
さらに挙げるなら、多様性について実感した点ですかね。さまざまな考えがあり、さまざまな業界があり、さまざまなやり方があるんだということに改めて気づきました。人と比較して気にするよりも、自分が持つ長所や個性を活かして仕事に貢献できればそれでいいのかな、と考えが深まりました。
さらに挙げるなら、多様性について実感した点ですかね。さまざまな考えがあり、さまざまな業界があり、さまざまなやり方があるんだということに改めて気づきました。人と比較して気にするよりも、自分が持つ長所や個性を活かして仕事に貢献できればそれでいいのかな、と考えが深まりました。
事前に講師の著書を読むとより深く理解できる
(黒坂)
最後に、この研修の受講を検討されている方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
(出浦)
せっかくの貴重な機会なので、なるべく多くの方と交流ネットワークを作るのがおすすめです。また、研修期間中はしっかり集中できるよう、通常の仕事から離れて取り組めるように準備を済ませておくといいと思います。
私はいつも、セミナー等に参加する時は講師の方の著書を読んでから参加するようにしています。今回は中神さんの著書を読んで参加しました。実は、投資に関する話には苦手意識があり、今まで避けていた部分があったんです。せっかく講演をうかがうとなったのでちゃんと本を読み、事前知識を身に着けて参加しようと思いました。興味があるテーマ、あるいは自分の専門外の場合などは、予習して参加するとより充実した研修になるのではないかと思います。
私はいつも、セミナー等に参加する時は講師の方の著書を読んでから参加するようにしています。今回は中神さんの著書を読んで参加しました。実は、投資に関する話には苦手意識があり、今まで避けていた部分があったんです。せっかく講演をうかがうとなったのでちゃんと本を読み、事前知識を身に着けて参加しようと思いました。興味があるテーマ、あるいは自分の専門外の場合などは、予習して参加するとより充実した研修になるのではないかと思います。